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明日から使えるファシリテーションメモ 第1回

Monday, September 30, 2013 0 コメント
当院救急部メーリングリストで短期連載している「明日から使えるファシリテーションメモ」です.

第1回.「発散」から「収束」を経て「合意形成」に.
当集中治療部において何らかの医療行為を行う際には,可能な限り多い人数で話し合い,そこでその医療行為が妥当だと判断されなければなりません.
妥当と判断されるというのは,すなわち「合意形成」がなされるということです.
ということは,話し合いは「合意形成の手段」ということになります.
話し合って「合意形成」を行った後に,医療行為を実施することが許されるのです.

さて,話し合いの中で合意形成を得るためには,その話し合いが上手く行われる必要があります.
話し合いの道筋(プロセス)には色んな型(パターン)があります.話し合いの内容に合わたパターンの選択が,上手い話し合いには欠かせません.
当集中治療部の議論に最も有用なプロセスは「発散・収束」型プロセスです.
このプロセスでは,「発散」と「収束」というフェーズを経て,最終的に「合意形成」に至ります.
まず参加者全員で可能な限りアイディアを出し(発散),その後にそれらを上手にまとめて(収束),そしてみんなが納得できるものを作り上げる(合意形成),という順番で話し合いをおこないます.

ここで集中治療部の回診を思い出してください.
回診では診断・治療のいずれの話題においても,この「発散」->「収束」->「合意形成」を行っているということに気付きませんか?

「この患者はショック状態である」
->「その原因として考えられるのは…と,…と,…」(発散)
->「これらの原因は4つの群に分けられる.…と…はxxに,…と…はooに分類される.」(収束)
->「ショックの原因を考えるために,***という検査をしよう」(合意形成)

治療の議論をしているときも同様ですね.

大切なことは,「発散」のフェーズで「収束」させない,「収束」のフェーズで「発散」させない,ということです.

というわけで,今後議論をする際に,いま発散のフェーズなのか,収束のフェーズなのかを考えて発言すると,より有機的に話し合いが行えると思います.

回診以外でこの「発散・収束」型プロセスが有用なのは,アイディア創造を必要とするときだそうです.
KJ法なんかは,まさにこの「発散・収束」型プロセスですよね.

今後の「明日から使えるファシリテーションメモ」では,発散の方法,収束の方法,合意形成の方法などを少し紹介していく予定です.